RICOH GR IV Monochrome 紹介記事|スペックと比較で読み解くモノクロ専用機の本質

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RICOH GR IV Monochrome スペックと比較で読み解くモノクロ専用機の本質

ライカのモノクロ専用機の魅力を散々書いてきた自分にとって、「GRがついにモノクロ機を出してきたんだ!」という感じです。GRの様なスタイルに合う気はしてましたが、元々ニッチなGRが更にニッチなモノクロ専用センサーを搭載したコンパクト機が出てきた。これはモノクロ機種を多数使ってきた自分としては大変気になります。

この記事ではスペックと他機種との比較を中心に、GR IV Monochromeがどんな人向けのカメラなのかを整理します。

RICOH GR IV Monochrome 本体正面
RICOH GR IV Monochrome 本体 / 出典:RICOH IMAGING(https://www.ricoh-imaging.co.jp/japan/products/gr-4-mono/)
RICOH GR IV Monochrome

リコー

RICOH GR IV Monochrome

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GR IV Monochromeとは何者か

2026年1月に発表、同年2月13日に発売されたモノクロ専用コンパクトデジタルカメラです。価格は税込283,800円。GR IIIxと比べると約8〜10万円高い水準で、コンパクトカメラとしてはかなり強気の設定です。

最大のポイントはモノクロ専用CMOSセンサーを新設計したこと。通常のカメラはカラーセンサーで撮った画像をモノクロ変換しますが、このカメラはそもそもカラーフィルターがありません。センサーが最初からモノクロ用に作られているので、光を直接輝度情報として記録できます。ローパスフィルターなし、カラーフィルターなし——これが解像感と諧調の違いに直結します。

GR IV Monochrome モノクロ専用CMOSセンサー
モノクロ専用CMOSセンサー / 出典:RICOH IMAGING
GR IV Monochrome 外観 GR IV Monochrome 外観 GR IV Monochrome 外観
GR IV Monochrome 各部デザイン / 出典:RICOH IMAGING

もうひとつ目を引くのが内蔵赤色フィルター。レンズユニットの中に組み込まれていて、ワンタッチで切り替えられます。フィルムカメラ時代のモノクロ撮影者が使っていた赤フィルターを、デジタルで再現したような機能です。空のコントラストをぐっと上げて雲を浮かせたいとき、これがあるかないかで全然違います。

GR IV Monochrome 内蔵赤色フィルター
内蔵赤色フィルター / 出典:RICOH IMAGING
GR IV Monochrome 作例
出典:RICOH IMAGING
GR IV Monochrome 作例
出典:RICOH IMAGING

スペック一覧

項目 RICOH GR IV Monochrome RICOH GR IIIx Leica Q2 Monochrome Sigma dp2 Merrill
センサーサイズ APS-C(23.3×15.5mm) APS-C(23.3×15.5mm) フルサイズ(36×24mm) APS-C相当(23.5×15.7mm)
画素数 約2,574万画素 約2,424万画素 約4,730万画素 約4,600万画素(Foveon)
焦点距離(換算) 28mm F2.8 40mm F2.8 28mm F1.7 45mm F2.8
最小絞り F16 F16 F16 F16
重量 約262g(バッテリー・カード含む) 約262g(バッテリー・カード含む) 約735g(バッテリー含む) 約330g
最高感度 ISO 409600 ISO 204800 ISO 100000 ISO 6400
手ぶれ補正 5軸シフト式 5軸シフト式 なし なし
モノクロ専用機か YES(専用センサー) NO(カラー機) YES(専用センサー) NO(カラー機・モノクロ変換)
価格目安 約283,800円 約110,000〜130,000円 約898,700円 中古のみ(生産終了)

※価格は2026年5月現在の参考値です。為替・市況により変動します。

他機種との比較

vs RICOH GR IIIx:専用センサーで何が変わるか

GR IIIxはGRシリーズの現行カラー機で、焦点距離が40mm。GR IV Monochromeは28mmなのでそもそも画角が違いますが、同じGRとして比べてみます。

センサーの作りが根本的に異なります。GR IIIxはカラーセンサーで撮影した画像を後処理でモノクロに変換するのに対し、GR IV Monochromeはカラー情報をはじめから捨てています。カラーフィルターがない分、光の利用効率が上がります。同じ画素ピッチでも諧調の豊かさや細部の解像感が変わってくる——これがモノクロ専用センサーの理屈です。

価格差は約15〜17万円。すでにGRでモノクロしか撮らないと決めている人なら選択肢に入るのでしょうか。価格差は専用設計なのとニッチな機種なので仕方がないところでしょう。GR IIIxを持っていてカラーも撮りたい場合は、そちらとの二台持ちより、GR IIIxひとつで済ませたほうが現実的かもしれません。

GR IV Monochrome 作例
出典:RICOH IMAGING

vs Leica Q2 Monochrome:フルサイズとAPS-C、価格差3倍の現実

自分がずっと気になっているのは、同じくレンズ一体型のコンパクト機であるこのQ2 Monochromeとの比較です。Leica M11 Monochromeについて書いたときも同じことを感じましたが、ライカのモノクロ専用機は「価格は高い、でも得られるものも別格」という位置づけです。

Q2 Monochromeはフルサイズで4,730万画素、レンズはSummilux 28mm F1.7。GR IV Monochromeと同じ28mmですが、F1.7という明るさが全然違います。価格は約90万円。GR IV Monochromeの3倍以上です。

ただ重量は735g。GR IV Monochromeの262gと比べると、気軽にポケットに入れて街を歩けるかどうかが根本的に変わります。Q2 Monochromeはコンパクトとはいえ、カメラとして構えて使うもの、GR IV Monochromeはいつも持ち歩くもの——そういう使い方の違いもあるのではないかと思います。

各メーカーのモノクロ表現を比較した経験から言うと、フルサイズモノクロ専用機の諧調の豊かさは確かにAPS-Cより優れているとは思います。でも、常に持ち歩けないカメラで撮れるモノクロより、毎日ポケットに入れて撮れるモノクロのほうが写真として価値があるケースは多い。これは好みと撮影スタイルの話かなと思います。

GR IV Monochrome 作例
出典:RICOH IMAGING

vs Sigma dp2 Merrill:Foveonとモノクロ専用CMOSの哲学の違い

Sigma dp2 Merrillは生産終了していて現在は中古のみですが、「専用センサーで高画質を目指す」という文脈では避けられない比較対象です。Foveonセンサーは3層積層でRGBを別々に記録するという、他とは根本的に異なるアーキテクチャです。

Foveonのモノクロ変換は、通常のベイヤーセンサーよりも情報量が多い状態でのモノクロ化になります。それがFoveonの強みでもあったわけですが、GR IV Monochromeのように「最初からモノクロだけ」というアプローチとはまた違います。

Sigma dp2 Merrillの弱点はISO 6400が上限であることと、動作の遅さ。GR IV Monochromeは最高ISO 409600、5軸手ぶれ補正つきで、道具としての実用性は段違いです。

中判でモノクロスナップを撮り歩いた経験と照らし合わせても思うのですが、中判やフルサイズの描写の「厚み」は確かに存在します。ただその厚みを日常のスナップで出し切れるかというと、それはカメラ側の問題というより撮影者側の問題になってくる気がします。

GR IV Monochrome 作例
出典:RICOH IMAGING

GR IV Monochromeのここが気になる

動画はFull HD止まりです(60p/30p/24p)。4Kには対応していません。動画をモノクロで撮りたいという需要がどれくらいあるかは微妙ですが、価格帯を考えると少し気になります。

内蔵ストレージが約53GBあります。GRシリーズとして初の試みで、microSDと使い分けることができます。撮影中はSDカード、バックアップや素早い転送には内蔵ストレージ——といった運用も考えられます。

価格が283,800円というのは、GRシリーズのユーザー層に受け入れられるかどうかが鍵です。GRは「手軽に高画質」というブランドイメージが強いカメラです。ライカ価格に近づくが如くの値段設定がユーザーにどう映るか、発売後の市場反応が気になるところです。ただ、何度も言いますがニッチなカメラなのでやむなしかなと。高くても出してくれてありがとう!ってユーザーは確実にいると思います。

GR IV Monochrome 作例
出典:RICOH IMAGING

GR IV Monochromeを選ぶべき人・選ばなくていい人

選ぶべき人

  • スナップ中心でモノクロ専用機が欲しいが、ライカは予算的に無理な人
  • GRシリーズの操作感・コンパクトさが好きで、それでモノクロを極めたい人
  • 赤外線フィルター効果を撮影中にワンタッチで試したい人
  • 高感度(ISO 409600)が必要な夜間・暗所でのモノクロスナップをしたい人
  • 28mmの画角に慣れていて、ストリートフォト中心の人

選ばなくていい人

  • カラー写真も撮りたい人(GR IIIxで十分です)
  • フルサイズの諧調と価格差を天秤にかけられる予算がある人(Leica Q2 Monochromeへ)
  • 40mmの画角に慣れていてGR IIIxから移行を迷っている人(画角が違うので別物です)
  • モノクロは後処理で十分と思っている人(それはそれで正しい)

まとめ:GR IV Monochromeの立ち位置

スペックと比較から読めるGR IV Monochromeの立ち位置はかなりはっきりしています。「モノクロ専用機を持ち歩きたいが、ライカには手が届かない」という層への、リコーからの回答です。フルサイズほどの諧調の豊かさはないかもしれませんが、262gのボディにAPS-Cモノクロ専用センサー、5軸手ぶれ補正、赤フィルター内蔵——この組み合わせは他にありません。

モノクロ専用機に長く向き合ってきた感覚で言うと、センサーの作りが描写に与える影響は確実にあります。同じ28mmでも、「カラーをモノクロに変換している」のと「最初からモノクロとして記録している」のは、微妙でも確実な差として出てくる。そこに8〜10万円の追加予算を払えるかどうかが分岐点です。

実機を触れたら続報を書きます。